2017年10月01日
10/1第八節
―――すみません、横の席よろしいですか。
「何だ、別に空いてるけど、何か用?」
―――今日の2連敗の敗因をまだ伺っていないので。
「お前、空気読めよ。一人でやけ酒してるの、わかるだろ。
こんな状況でも、敗因を聞こうとするお前の記者魂は評価してやる。
しかし俺は今、猛烈に落ち込んでいる。そっとしておいてくれ」
―――いずれも僅か1点差での敗戦でした。
「わかっとる。小学生でも分かる引き算だろ」
―――あと残り4戦をどう戦うのか。他チームも注目だと思うんですが。
「そうかなあ…。今日の敗戦でもう、
ああUMAsは相変わらずいつものUMAsだなって、
思ったんじゃない?」
―――かなり酔ってますね。あ、ワタシ焼酎水割りで。
「1点差の敗北がいかに『大差』であるか。今日は改めて思い知らされたよ」
―――と言いますと?
「今日は正直、何がまずかったのか、俺も理解していないんだ。
みな全力で本当によく頑張った。今まで勝ってきたテンション以上にムードもある。
なのに結果が裏目に出る。」
―――ジャッジのことですか。
「ジャッジは仕方ない。打ったのが野手の正面とか、もう一声ってところで、
残塁をいくつか積み重ねた。今思えば、その一つひとつに敗因が潜んでいた。
…おいおい、まだビール残ってるだろ、グラス下げるなって。」
―――選手は頑張ったと?
「そうだな。今日は特に稲葉弟の尚輝が来てくれてかなり助かった。
背番号96はもう、あいつのものだ。次回も来るよう奥さんにも宜しく言っといた。」
―――そうなんですね。
「義弘が腰痛、啓祐が扁桃腺の腫れで来れなかった分、いつものチームのムードではなかったのかもしれない。」
―――実はそれ以外に日常と違う面がありました。
「…オーダーのことか。
ここぞとばかりに気合を入れたんだが…裏目に出たと言うのか?」
―――裏目かどうかは分かりませんが、普段1番の梅垣が5番、4番の澤が3番、そして渡部が第16代の4番に。
「これは寝ずに考えたオーダーなんだよ。いつも通りでは刺激がない。ここで勝つというメッセージが必要だった。
梅垣は本来はチャンスに強いタイプ。Uを引っ張る中軸だから。渡部も本来は4番に座る逸材、梅垣と渡部の飛車角が
打てば、基本的には勝てる。。
澤はかなり緊張していたが、彼の存在感はアナリストとしても戦力としても要の存在。
安田の安定感と姿勢は、見ていて気持ちがいい。二番セカンドはもう不動になりつつある。
尾崎は子連れで集中しづらい中で、あれだけの守備や声掛けができるのは、たいしたもんだ。
粟津も難しい打球を本当によく裁く。荒木は満身創痍なのに、もうあそこまでプレーが出来ている。
伊藤と裕之、この二人には頭が上がらない。マウンドでの奮闘は感動すら覚える。
伊藤は打って投げて守れる。裕之は打率5割の驚異的な投手。こんな逸材は探したって出てこないさ。
尚輝のスローイング、見ただろ?体制が崩れてもランナーを指せる。無理を言って家族で来てくれた。
こんなメンバーに恵まれたUMAsに、これ以上何を求めるって言うんだ?
なあ、教えてくれよ。毎年毎年レベルを上げてきて、今シーズン初めての連敗なのに、
『連敗の要因は何だ』って聞いてくる。お前には良心というものがないのか?」
―――おっしゃるとおり、UMAsは逸材揃いだと私も思います。
でもいいですか?だったら、ですよ?
「何だよ、お前喧嘩売ってるのか」
―――逸材揃いで恵まれているのなら、何故やけ酒なんかするんですか。いいじゃないですか、落ち込まなくても。
まだ優勝が消えたわけじゃないし、結果も大事ですが目指す理念が大事なんだと、言ってきたのはどこの誰なんですか。
「どうしたんだよお前、酔ってるのか?まだ焼酎来てないぞ」
―――いや、これだけは言わせてください。ずっとUMAsの番記者やってきて、思ったんです。UMAsはプロセスに拘る球団なんだと。
結果に左右されない、理念に立つ拠り所にこそ価値を見出すべきだと。その価値を失わずに、そこを目指し続けるには、
この連敗を喫した今だからこそ、試されているんじゃないんですか?
…なるほど、分かりましたよ、今日の敗因が。結果に拘って采配した、その心ですよ。
「何だこの野郎。黙って聞いてりゃ言いたいこといいやがって。」
―――だからこそ、あと4戦、勝ってください。今日の連敗も、UMAsにとって絶対に必要な連敗だったと、必ずなりますから。
そして、その谷底を味わったからこそ、頂に立つ喜びもヒトシオなんじゃないんですか?
結果は全てではありませんが、プロセスを輝かせるためにも、勝ち続けましょう。ここからUMAsは試されてますよ。
「…お前、良いこというやないか。確かに試されいている。そしてそのことが却って恵まれた環境を作っている。
今日来れなかった稲葉兄も、熊澤も、三木も、あと4戦で必ず来てくれるだろう。まだまだ個性的で魅力的な選手は存在する。
義弘も必ず戻ってくる、チームトップの勝率を誇る啓祐も次回は磐石の態勢で来るだろう。
専属カメラマンの笑喜も素晴らしい。平尾スコアラーもありがたい。魅力溢れた、良いチームだ。
Uの伝説は何もUMAs劇場だけじゃないさ。ここから踏ん張ってみせる。」
―――じゃあ、今日の戦績・戦評はどうしますか
「このやり取りを、そのまま載せてくれ。その方がリアリティが伝わる。」
―――あと2点ずつ取れば勝てていたUMAs、がいいですかね。
「お前、センスねえな。そんなじゃあ、何も伝わらないって。」
―――表題どうします?
「みんな大好きだ、ありがとう!にしてくれよ」
―――何のことか分からないじゃないですか。
「いいってことよ。さあ、今日は呑もう!トコトン付き合え」
第一試合
R 00220 4
U 01011 3
第二試合
U 36000 9
I 4510- 10
11勝3敗2分、残り4戦
「何だ、別に空いてるけど、何か用?」
―――今日の2連敗の敗因をまだ伺っていないので。
「お前、空気読めよ。一人でやけ酒してるの、わかるだろ。
こんな状況でも、敗因を聞こうとするお前の記者魂は評価してやる。
しかし俺は今、猛烈に落ち込んでいる。そっとしておいてくれ」
―――いずれも僅か1点差での敗戦でした。
「わかっとる。小学生でも分かる引き算だろ」
―――あと残り4戦をどう戦うのか。他チームも注目だと思うんですが。
「そうかなあ…。今日の敗戦でもう、
ああUMAsは相変わらずいつものUMAsだなって、
思ったんじゃない?」
―――かなり酔ってますね。あ、ワタシ焼酎水割りで。
「1点差の敗北がいかに『大差』であるか。今日は改めて思い知らされたよ」
―――と言いますと?
「今日は正直、何がまずかったのか、俺も理解していないんだ。
みな全力で本当によく頑張った。今まで勝ってきたテンション以上にムードもある。
なのに結果が裏目に出る。」
―――ジャッジのことですか。
「ジャッジは仕方ない。打ったのが野手の正面とか、もう一声ってところで、
残塁をいくつか積み重ねた。今思えば、その一つひとつに敗因が潜んでいた。
…おいおい、まだビール残ってるだろ、グラス下げるなって。」
―――選手は頑張ったと?
「そうだな。今日は特に稲葉弟の尚輝が来てくれてかなり助かった。
背番号96はもう、あいつのものだ。次回も来るよう奥さんにも宜しく言っといた。」
―――そうなんですね。
「義弘が腰痛、啓祐が扁桃腺の腫れで来れなかった分、いつものチームのムードではなかったのかもしれない。」
―――実はそれ以外に日常と違う面がありました。
「…オーダーのことか。
ここぞとばかりに気合を入れたんだが…裏目に出たと言うのか?」
―――裏目かどうかは分かりませんが、普段1番の梅垣が5番、4番の澤が3番、そして渡部が第16代の4番に。
「これは寝ずに考えたオーダーなんだよ。いつも通りでは刺激がない。ここで勝つというメッセージが必要だった。
梅垣は本来はチャンスに強いタイプ。Uを引っ張る中軸だから。渡部も本来は4番に座る逸材、梅垣と渡部の飛車角が
打てば、基本的には勝てる。。
澤はかなり緊張していたが、彼の存在感はアナリストとしても戦力としても要の存在。
安田の安定感と姿勢は、見ていて気持ちがいい。二番セカンドはもう不動になりつつある。
尾崎は子連れで集中しづらい中で、あれだけの守備や声掛けができるのは、たいしたもんだ。
粟津も難しい打球を本当によく裁く。荒木は満身創痍なのに、もうあそこまでプレーが出来ている。
伊藤と裕之、この二人には頭が上がらない。マウンドでの奮闘は感動すら覚える。
伊藤は打って投げて守れる。裕之は打率5割の驚異的な投手。こんな逸材は探したって出てこないさ。
尚輝のスローイング、見ただろ?体制が崩れてもランナーを指せる。無理を言って家族で来てくれた。
こんなメンバーに恵まれたUMAsに、これ以上何を求めるって言うんだ?
なあ、教えてくれよ。毎年毎年レベルを上げてきて、今シーズン初めての連敗なのに、
『連敗の要因は何だ』って聞いてくる。お前には良心というものがないのか?」
―――おっしゃるとおり、UMAsは逸材揃いだと私も思います。
でもいいですか?だったら、ですよ?
「何だよ、お前喧嘩売ってるのか」
―――逸材揃いで恵まれているのなら、何故やけ酒なんかするんですか。いいじゃないですか、落ち込まなくても。
まだ優勝が消えたわけじゃないし、結果も大事ですが目指す理念が大事なんだと、言ってきたのはどこの誰なんですか。
「どうしたんだよお前、酔ってるのか?まだ焼酎来てないぞ」
―――いや、これだけは言わせてください。ずっとUMAsの番記者やってきて、思ったんです。UMAsはプロセスに拘る球団なんだと。
結果に左右されない、理念に立つ拠り所にこそ価値を見出すべきだと。その価値を失わずに、そこを目指し続けるには、
この連敗を喫した今だからこそ、試されているんじゃないんですか?
…なるほど、分かりましたよ、今日の敗因が。結果に拘って采配した、その心ですよ。
「何だこの野郎。黙って聞いてりゃ言いたいこといいやがって。」
―――だからこそ、あと4戦、勝ってください。今日の連敗も、UMAsにとって絶対に必要な連敗だったと、必ずなりますから。
そして、その谷底を味わったからこそ、頂に立つ喜びもヒトシオなんじゃないんですか?
結果は全てではありませんが、プロセスを輝かせるためにも、勝ち続けましょう。ここからUMAsは試されてますよ。
「…お前、良いこというやないか。確かに試されいている。そしてそのことが却って恵まれた環境を作っている。
今日来れなかった稲葉兄も、熊澤も、三木も、あと4戦で必ず来てくれるだろう。まだまだ個性的で魅力的な選手は存在する。
義弘も必ず戻ってくる、チームトップの勝率を誇る啓祐も次回は磐石の態勢で来るだろう。
専属カメラマンの笑喜も素晴らしい。平尾スコアラーもありがたい。魅力溢れた、良いチームだ。
Uの伝説は何もUMAs劇場だけじゃないさ。ここから踏ん張ってみせる。」
―――じゃあ、今日の戦績・戦評はどうしますか
「このやり取りを、そのまま載せてくれ。その方がリアリティが伝わる。」
―――あと2点ずつ取れば勝てていたUMAs、がいいですかね。
「お前、センスねえな。そんなじゃあ、何も伝わらないって。」
―――表題どうします?
「みんな大好きだ、ありがとう!にしてくれよ」
―――何のことか分からないじゃないですか。
「いいってことよ。さあ、今日は呑もう!トコトン付き合え」
第一試合
R 00220 4
U 01011 3
第二試合
U 36000 9
I 4510- 10
11勝3敗2分、残り4戦