7/17朝練 すみなすものは心なりけり

京都上鳥羽UMAs

2022年07月17日 13:13



面白き事もなき世を面白く

すみなすものは心なりけり



長州藩・奇兵隊の創始者、

高杉晋作の辞世の句とされている。


しかし異論もある。

上の句は高杉氏本人らしいが、

下の句は、病床に伏す高杉氏の看病をしていた

幕末の女流歌人・野村望東尼が続いたものという説がある。


面白くないことを面白くしてみよ。

そんな頓智を、野村氏に託したのだとしたら、

何と見事な切り替えしであろうか。



きっと、何事も、ここにあるものすべてが、

人の心によって尊くもなり、平凡にもなる。

そういう、ただの「もの」に魂を吹き込むような、

その不思議な人類の営みは、時代を超えて今も存在している。




早朝のグランドに立つ。


しんとした、静かな場。

けれどこの場で、

きっとたくさんの子どもたちが、

ワイワイと騒ぎ駆け回り、

たくさんの足に踏みなさられながら、

砂埃舞う、激しく揺さぶられていた中に佇んで今この、

平然とした顔をのぞかせるという、奇妙な感覚。



ボールを追いかけ、

汗をぬぐいながら、

グランドに触れる足を感じながら、

ふと思うことがある。



これは当たり前な事ではないと。



ここにグランドがある。

ボールを投げ、走り、打っては、笑う。


こういう一つひとつが、

こういう一つひとつこそが、

生きているということであり、

すみなす心そのものなのではないのかと。


ただ通り過ぎても、グランドは一つ。

そして、この地に立って練習ができることへの無上の喜びもまた、

グランドは、一つだ。



ここに、今日もグランドがあること、

プレーに一喜一憂できるのも、

このグランドがあるからだということ、

その有難いものへの感謝と誉をしっかと心に刻むことが、

もしかしたら、プレーを楽しめる大切なよすがである気がした。



通り過ぎるプレーも、確かにプレーだ。

でも、受け止めて、ここに立てることを感謝に変えて、

今日もいい汗をかける瞬間を感じることができたなら、

そうこれこそが、ソフトボールなのではとさえ、思った。



感謝をグランドに返す。

グランドに立つことの得難さに気づかされる。

心地よい疲れが、次への希望を、明日へのプレーを、

呼び覚まさせてくれる。



面白くないことを面白くしてみよ。

高杉氏の問いに、今の私なら、答えられる。


今日こうして、グランドに立ったあの瞬間の、

私のためにあるかのようなあの感覚こそが、

このグランドで展開されるあらゆるものを、

面白くしてくれる。



そこに、数個のボールとバットと、

よければネットさえあれば、

俺たちは何だって、ソフトボールを楽しめる。


この感覚を忘れないことが、

俺たちの、最高のプレーを保証してくれる。



そんなことを、スパイクの土を払いながら、

思ったのでした。




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