《UMAsストーリー》0.8%の軌跡

京都上鳥羽UMAs

2022年11月20日 11:23

漆黒のカリスマか、

はたまた、

虹色のファンタジスタか。



2022年秋季リーグは、

最終節の最終戦までもつれ込む、

伝説の「名勝負」数え歌となった。



その余韻は初冬に向かう11月下旬を迎えてもなお、

ユーマーズの魂にコダマを許している。



勝った負けたの世界ではない。

目指すのは、勝ちを通じたプロセスだ。



文化の持つ遊びの要素についての定義づけに挑んだ、

ヨハン・ホイジンガというオランダの歴史学者は、

著書『ホモ・ルーデンズ』の中で、


競技は遊びのようではあるものの、

その遊びにある勝ち負けは目的ではない、

その行為そのものに目的が及ぶという記述がある。


そしてこう書いている。



冒険、チャンス、結果の不確実性、そして緊張が

遊びの心掛けの本質を形づくっている。




ユーマーズ劇場は、

勝ち負けを目指す中で創出される。



冒険、チャンス、結果の不確実性、

何とも言えぬ緊張感が、

ユーマーズ劇場における本質的な果実だ。



再三に渡って申し上げてきたこの下りも、

ここまで論を展開すると、

実はもう一つの《顔》を見せ始める。



もしかすると、である。



ユーマーズの試合はあくまでも表層であり、

そこに至る無数のプロセス、

日常に埋もれ続ける、

膨大にして見過ごされがちなもの一つひとつが既に、

ユーマーズ劇場を形づくってはいまいかという

提唱である。



0.8%のシェア率。



急に出したこの数字は、

月に2回、試合が行われたとして、

《一か月に占めるユーマーズ時間の占拠率》

を指す。



心情を吐露すれば、

この0.8%というわずかな占有率を明らかにするために、

毎回、出席率に右往左往しているのかと思うと、

やや滑稽な感は否めないが、

0.8%というものの実態は、

それこそ表層の表層、

限られたワンシーンだ。



残り99.2%に、

ユーマーズ戦士たちの生があり、

日常があり、劇場がある。


99.2からみた0.8は余りにも小さいが、

希少な0.8《のために》集い、

至極の0.8を絞り出すために、

この大きな99.2という裾野が在ると解釈すれば、

見えてくるものがまるで違ってくる。



そう、よって、

0.8%という海岸から眺めた一人ひとりの生き方は、

この表層の0.8%を生み出すために広がる水平線、

実に壮大な大海という名の、

99.2%なのである。



ラーメンで言えば開店前の仕込み、

鶏を裁き、具材を刻み、

秘伝のたれを投げ入れ、ぐつぐつと煮込む。

その結果生まれた、

0.8%という凝縮されたスープの妙だ。


しかも仕込みは値段に反映されづらい。

店主の努力、積み上げてきた探究、

ここにしかないレシピを生み出したプロセスは、

何食わぬ顔でスープに溶け込み、

食する消費者からは素通りされる。




家族で起こったこと、

通勤電車のルーティン、

取引先での出来事、

拭えない人間関係のひずみ、

その全てが、0.8%の土壌となる。


そう思えばこそ、

グランドに立つ試合だけが、

ユーマーズではなくなってくる。



あらゆるものが、

ユーマーズの、0.8%に必要な大海となり、

ここにしか立ちえない具材となって、

私たちの心を、そして腹を、満たしていく。



プロセスに劇場を見るとは、

こういうことなのかもしれないのだ。



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マスター(以下M):分かりました、連絡待ってます。

U番記者(以下U):こんちわ。

M:おお、いらっしゃい。

U:電話大丈夫でした?

M:ああ、監督からだった。

U:まだ午後2時ですよ。

  仕事してるんですかね。

M:それを言うならお前もだろ。

U:何かあったんですか?

  豚汁定食テイクアウトですかまた。

M:何やら怪しい会を考えているようだ。

  試合中に録画したのを鑑賞会するからと。

U:ビデオ?撮ってましたっけ?

M:10月の公式戦から確かにビデオは回していた。

  ベンチをずっと固定で撮っていたと思う。

U:ベンチぃ?なぜそんなところを。

  プレーしてるグランドじゃないんですか?

M:多少角度によって打席も取れているそうだが、

  肝心なのはベンチだそうだ。

U:監督の悪口言ってる

  犯人探しでもするんですかね。

M:本人もベンチにいるだろ(笑)

U:何をしようとしてるんですかね。

  そういえばパーカーのデザイン、

  ほぼ固まったそうですよ。

M:へえ、案外早いな。

U:色も3色から選べるのが奇抜ですね。

  デザインのコンセプトは、

  「女性がユニバで着ていきたくなるもの」

  だそうで。

M:通信販売でも興すのか。

U:やはり、ユーマーズ劇場を世に広めて、

  今までにない、ここでしかないを、

  貫こうとしてるんじゃないですかね。

M:まあ、確かにそうだ。

U:何がですか?

M:人生は一度きり。遠慮してたら時が過ぎるわ。

U:何スか急に。

M:鑑賞会も、来れる人は限られるだろうが、

  そこから見えてくるものもあるんだろう。

U:ただワイワイしたいだけだったりして。

M:あるな、それ。

U:まあ、何にせよ、

  やってみればいいんですよ。

  そこからしか望めない景色もある。

M:何遠い目して言ってんだよ。

U:マスターも買うんですか?パーカー。

M:スポンサーになろうかなって思って。

U:すげえ!なんて献身的な!

M:いや、今回のデザイン、

  まじでイイらしいな。

U:ふっはっは。

M:変な笑い方やめろ。

U:そうなんですよねぇ。

  めちゃかわいいですよ。

M:もったいぶっても、

  お前はかわいくないぞ。

U:まあ、12月中には納品できそうですから、

  楽しみにしておいてくださいよ。


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ユーマーズ劇場、今は確かにオフシーズンだ。

しかしこのオフの間こそ、

劇場のスープが煮込まれている。

0.8%はそうやって、味を生み出していく。



終わればユーマーズ、

打って打って打ちまくった。


最高打率に、最多安打。

最多得点に、最多四球。


事実、リーグ記録として残されている

ユーマーズ2017年度の最高打率「.511」は、

20年の歴史あるリーグの中で、

未だ破られていない金字塔だ。


その打線に呼応して、

失点率もまた、上昇機運だ。



虹色のファンタジスタに、

ユーマーズ劇場に、

安易なゴールテープは、

似合わない。


冒険、チャンス、結果の不確実性、

そして緊張が、

ユーマーズを揺さぶり続けるからだ。



これまでも、

そして、

これからも。





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