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2022年12月17日

汗と涙の、二段階劇場

あれは学生の頃、

自動車免許のカリキュラム途中で、

原付の講習がおまけのように付与される。


恐らく2時間だったか、2日間だったか、

それくらいの幅を許すほどに、記憶に乏しい。


覚えていることと言えば、

備え付けのヘルメットが小さくて入らず、

ずっとオマリーみたいな締まりのない頭をひけらかし、

パリぴーな感じで所内を徘徊したことくらいだ。


もちろん、ぱりぴーで合格したわけだが。



そこで習得した、得体のしれない技というか、

ルールがある。




二段階右折。




50cc以下の原付に限られた掟だ。

しかも左にウインカーを出しながら、

曲がるのは右だったりするから、

ややこしい。



その、何が言いたいか。




今夕、

2軒目の飲み屋から衝撃の電話がかかってきたとき、

なんてこった、パンダコッタのギャグもほろろに、

まず出てきた自己内会話だった。



『二段階右折かよ』



全然そうではない、

言っておくが原付と今回の劇場と何の関連性もない。

しかし思わず頭でウインカーが光ったのだから、

仕方がない。



特に重要なのは、二段階だ。

二段階で、しかも納会の前日の夜に、

断られるという奇妙な体験のことだ。



奇妙なのは濃厚接触者という定義だ。

今回の劇場の主犯格である。



奇しくも同じタイミングで、

今日来るかもしれなかった盟友から、

「たった今、自分が濃厚接触者になった」と一報を受けた。



何というノスタルジー、

あの騒動で最も騒がれた言葉は、

今や死語だと思い込んでいた。



そんな言葉、未だにあるのか、

ここまできたらもう、

却って物珍しい言葉だなと何気に思った数分後に、

まさか定例の納会場所、もはや3か月前から予約していた店から

「濃厚接触者になったので明日は閉店」などと、

誰が予想しただろうか。



ここから、鬼のロンリー劇場が開幕する。

迷った私は、「せめて場所だけでも貸して欲しい」と懇願する。

回答は分かりやすい。

「店が家なもので、そこに隔離ですわ」

妙に納得を得る。


即座に人に頼った。

チームを支える女房役と言えば尚輝選手だ。


偶然にも、さらに北に上がった店が、

互いによく行った店だとわかり、数年ぶりに電話をかける。

軽快な口調が電話越しに聞こえるが、

第一声の「ご無沙汰してます、ゆみさしです」の、

ゆみさしが聞き取れてなかったことは、容易に想像がついた。

数年ぶりなのに、「あー、はい、あどうも」である。

この、探りながら文脈で理解しようとする話術は、

誰あろう私もよく使う。

そしてわからぬまま終わるときは決まって、

切る間際に何度もお礼を言ってしまう。(しまったバレる)。



やがてゆみさしを認識頂き、

急だが明日10名の予約ができるかを聞く。

マスターの好きなようにしてください、

作りやすい料理で構いませんから、

白状しますが10名が濃厚接触難民です、

だから助けてください。



その願いは通じた。

「いいですよ、何とかします」

こんな心強い言葉は本当に最近例がない。

何かお土産でも買っていこうかとさえ思いつつ、

やれやれと、胸をなでおろし、

今日の飲み会場の身支度を始める。


この間、急な閉店に動揺し、

何人か「信じられます?何が濃厚だこの野郎」と

ばらまいていた嘆きを回収する。


いかんいかん、冷静さを失っているぞ。

いざ決まれば、何とオモシロイ劇場よ。

そういうことにも価値はあるのだと、

言い聞かせながらはいたズボンがゲンが悪かったか。



2軒目の電話番号の着信が3度残っていることに気づく。

さっき予約した店から、即座に3度の着信。



予感は当たった。

マスターのミスだった。

明日は予約が入っていた。



胸をなでおろした自分を恥じた。

嘆きの回収が、雄たけびの嵐に変わる。

もう出発しないと間に合わないが、

明日の納会の場所が決まらない。


何段階で苦戦してるんだ俺は、

まるで二段階右折じゃないか。



冒頭の下りは、そんなところから、

ふいに顔を出した。


今夜の商談に遅れる旨を伝えつつ、

またこの顛末を知って「大丈夫?」と

労わってくれる盟友の言葉もほろろに、

まさに文字通り、頭を抱えて画面を凝視する。



しかし、決まらない。



駅に向かう道すがら、

明日もしかしたら本当に、中止になるかもしれない。

2006年のリーグ参加から、

嵐が吹こうと、槍が降ろうと、

コロナが襲おうとも、欠かしたことのない納会。


まさに歴史の展開期か、

これもまた劇場かと呆然としつつも、

体は反比例して機敏に動く。




絶望からの生還は、

尚輝選手からの提案だった。


融通の利くお店、

開始バラバラでも容認できる懐の深さ。



最後まで悩んだ店もあったが、

最終的に確定したのは、

商談の場が遅れて始まって30分後のことだ。


都合90分間は、

明日のお店探しに奔走したわけだ。



こういう、すったもんだの末に、

明日の舞台が北大路で用意されている。



尚輝選手の献身的なサポートにしても、

「やばいな」というこれ以上ない的確なひらがなを送ってくれる上田選手の心遣いも、

「おれの家でやってもいいぞ」「だからユーマーズはやめられませんな」とコメントを残した啓祐選手の勇ましさも、

「楽しみに待ってます」という大きな絵文字で力づけてくれた下垣選手の心意気も、


全てが全て、劇場である。



まさに二段階劇場、

もはや原形をとどめていない奇妙なネーミングは、

納会の進展を暗示しているようで末恐ろしい。



こういうドラマ一つひとつが、

十分なほどの、ユーマーズ劇場だ。



もう、それこそ、

パリピーで臨もうかしら。


人の何倍も、

お好み焼き焼いてやるんだから。



まあとりあえず、場所が決まって良かった。

リモートでやろうかとさえ思った。

新年会にずらすべきかとさえ、思った。



しかし、場所は用意された。

盟友の心づくしが形になった。

やっぱり、場が創れる男は大事だ。





ユーマーズ劇場の絶好調ぶりを示した、

些細な1ページに、感謝を添えたい。


本当に焦った、

その焦りは、劇場の種だった。


まあでも、

こんなバタバタを、前日にさせるもんじゃない。



本来のあるべき予防策を蔑ろにして、

ただド派手な施策として、

濃厚接触者を閉じ込めるだけである。


二段階劇場、侮っていはいけない。

俺にしか見えなかった世界の、

まさに人生の濃厚接触者たるワタシの、

大きな大きな大舞台だった。


ぱりぴーな大舞台も、

悪くない。

劇場はまだ、現在進行形なのだから。



汗と涙の、二段階劇場


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Posted by 京都上鳥羽UMAs at 01:02 │徒然日誌