2021年10月31日
《開幕当日》雨天中止が決まる瞬間も、突然に訪れる
マスター(以下M):だからさあ…。
U番記者(以下U):知ってますって、セロテープの場所くらい。
M:違うだろ。何でうちの店でテルテル坊主かざすんだヨ。
U:待ちに待った開幕戦が、まさかこの瞬間の雨で。
M:要するに2つ間違っている。
一つは俺の店でなぜ吊るすのかという問題。
もうひとつが重要なんだが、
中止が決まってから吊るすという暴挙。
U:あきらめない!
M:それはどうにもならん。
もう監督は11月に照準絞ってるじゃないか。
U:だって…前夜の祝勝会パート2では、
新オーダーを試すって息巻いていたのに…。
劇場開幕って、3部作ストーリーで煽りも盤石だったのにぃ…。
M:そういうもんさ。でも今日の雨でのおかげで、
それこそリーグの開催形態も変わるかもよ。
U:え?どういうことですか?
M:いいか、よく考えろ。
今日の雨天中止によって、全5戦の短期決戦とはいえ、
今年中の消化は難しい。
しかもまだ、どのチームもまだ開幕してないんだぞ。
U:あ。。。確かに。
M:よって11月14日からの秋季は、
トーナメント方式になる可能性がある!
U:おお、凄い大胆予想。
M:コロナ禍を戦った意味では、
リーグのチームはみな兄弟だ。
このトーナメントで交流を図り、
2022年のペナントの布石にすることも価値ありだ。
U:それはそれで、面白いですね。
M:俺たちは春季の王者だ。
堂々としていないとだめだぞ。
U:2022年のペナント制覇に向けての、
秋季の5戦ということですね。
M:柔軟に模索することこそ、
ユーマーズが掲げる劇場の見せどころじゃないのか。
そういう記事で皆を鼓舞していくのが、
お前の、U番記者としての使命じゃないのか。
…って、おい、何だよ。
今度はテルテル坊主を引きはがして…。
U:もう今日の雨はあきらめた!
11月14日に照準絞ります!
後頭部に「11月14日を晴れにしてください」と書いておきます。
M:早すぎだ…。

誠に無念!今日のこのタイミングで雨にやられる。。。
これは幻の新オーダー。トライする志こそユーマーズだ!
11月14日に、集まろう!
2021年10月30日
《開幕前夜》入団を決めた瞬間は、突然に訪れる
世の中の道理は、
決して論理的に片づけられるものではない。
いわゆる進化論は、
強者の論理として「必然の法則」という
怪しい論理に人類は惑わされ続けてきた。
宇宙が支配するのは必然ではなく、
偶然の出会いであることを、
片山選手が証明してくれた。
かくして彼は、UMAs戦士となった。
開幕前夜の奇跡こそ、
UMAs劇場の名にふさわしい。
この4分間の動画が物語る、
UMAsヒストリーが、
開幕前夜にやってきた。
UMAsは隙だらけだ。
だからこそ、こういう価値を生み出す。
開幕を待てない、
神様のいたずらである。
2021年10月24日
《開幕まで、あと7日》第三話:完全新作エピソード ~夢の続きを、観ましょうよと~
「横、空いてます?」
60歳くらいだろうか、
とても高貴なイメージの女性から声をかけられた。
「もちろんです、どうぞ」
開演まであと15分ほどだった。
周りの席も、埋まり始めていた。
こういう場は初めてだ。
生で見るなんて、思いもしなかった。
しかし、何で僕が、
こんな舞台演劇を見る羽目になったんだろう。
こういう出会いも、学生生活の良さなんだろうけど、
ここまで場違いだと、さすがに居心地が悪い。
変なめぐりあわせなんだけど、
こういう偶然の出会いが人生を決めるとか、
そんな偉い人の話も聞いたことがあったっけ。
「よく来られるの?」
横に座った高貴な女性から、
また話しかけられた。
「いえ、初めてなんです。
友人から勧められて。
UMAsに興味あるなら、演劇見てみろよって」
「あらま、じゃあ貴方はUMAsに入ろうと?」
「はい。友人が何か楽しそうにプレーしてるもので。
同じ陸上部だったんですけど、UMAsに入っちゃって」
「私は主人がこの舞台の脚本書いてましてね。
昔はU番記者とか言って、試合のレポート書いてたんですよ」
「え!?あの昔の記事ですか?
僕それ読ませてもらって、めちゃ感動したんです!
ノンフィクション大賞をとられたのも、
わたし買いました。
旦那様が書かれてたんですか…。」
「ありがとうね。そう言ってくれて。
今はもう、次の記者がどんどんいい記事書いててね。
俺は次に行くって、何だと思ったら脚本家になっちゃった(笑)」
今までの居心地の悪さが、
いつの間にか、すっ飛んでいた。
質問が次々にあふれてくる。
「僕、U番記者の青春だったっていう、
バーにも行ったことあるんです。
マスターがまだご存命だった頃です。
《あいつ、面倒だけど、すげえ熱い男だ》って」
その女性の頬が緩む。
「そうかい、そうかい。
こんな偶然もあるもんなんだね。嬉しいね」
会場にブザーが鳴る。
自動的に手持ちのウェアラブルがサイレントに切り替わる。
昔は「電源をお切りください」と言われて、
それぞれで電源を落としていたらしい。
何かアバウトというか、
属人的な社会だったんだなと思う。
「UMAsって、どんな集団なんですか?」
まるで僕がU番記者になったかのように、
気が付けば質問を叩き込んでいた。
舞台のパンフレットに目を落としながら、
その女性はゆっくりと、丁寧に、
ひとつひとつ、答えてくれた。
・UMAsは昔は、
ソフトボールチームのみだったこと
・バーのマスターの店も昔は個人店だった。
今はUMAsの《一員》になったということ
・U番記者は代々受け継がれていること、
旦那様がその初代。今は舞台の脚本家。
・ある時から、UMAsのシンボルワード《劇場》が
本当にこんな劇場舞台を展開していったこと
・各種スポーツ、全てにおいて、
個々の人生を自由に描ける場として発展してから、
UMAsはたくさんの夢を包含する集団になったこと
・働き方が変わり、
テクノロジーが進化し、《一回りして》
UMAsの価値が見直され始めていること。
「で、貴方はUMAsに入るの?」
最後に直球の質問を僕がもらった。
この出会いも偶然ならば、この先もきっと、
この偶然を生きていくんだろうと、思った。
「はい。でも、舞台観てから考えようかな」
女性はにやりと笑って、言った。
「今日の主人が書いたタイトル、おかしいの。
~夢の続きを、観ましょうよと~
みましょうよとって、最後の文字、変よね」
その文句のつけ方に、
僕は何か言い尽くせない愛を感じた。
「きっと、みんなで夢みようって、
そういう呼びかけなんじゃないですかね。
僕も、それに乗っかろうかな!」
幕が開いた。
女性は微笑みで、返してくれた。
そして、思った。
僕も、夢の続きを、観ましょうよ、と。
205X年の、春のことだった。
全三話 了
60歳くらいだろうか、
とても高貴なイメージの女性から声をかけられた。
「もちろんです、どうぞ」
開演まであと15分ほどだった。
周りの席も、埋まり始めていた。
こういう場は初めてだ。
生で見るなんて、思いもしなかった。
しかし、何で僕が、
こんな舞台演劇を見る羽目になったんだろう。
こういう出会いも、学生生活の良さなんだろうけど、
ここまで場違いだと、さすがに居心地が悪い。
変なめぐりあわせなんだけど、
こういう偶然の出会いが人生を決めるとか、
そんな偉い人の話も聞いたことがあったっけ。
「よく来られるの?」
横に座った高貴な女性から、
また話しかけられた。
「いえ、初めてなんです。
友人から勧められて。
UMAsに興味あるなら、演劇見てみろよって」
「あらま、じゃあ貴方はUMAsに入ろうと?」
「はい。友人が何か楽しそうにプレーしてるもので。
同じ陸上部だったんですけど、UMAsに入っちゃって」
「私は主人がこの舞台の脚本書いてましてね。
昔はU番記者とか言って、試合のレポート書いてたんですよ」
「え!?あの昔の記事ですか?
僕それ読ませてもらって、めちゃ感動したんです!
ノンフィクション大賞をとられたのも、
わたし買いました。
旦那様が書かれてたんですか…。」
「ありがとうね。そう言ってくれて。
今はもう、次の記者がどんどんいい記事書いててね。
俺は次に行くって、何だと思ったら脚本家になっちゃった(笑)」
今までの居心地の悪さが、
いつの間にか、すっ飛んでいた。
質問が次々にあふれてくる。
「僕、U番記者の青春だったっていう、
バーにも行ったことあるんです。
マスターがまだご存命だった頃です。
《あいつ、面倒だけど、すげえ熱い男だ》って」
その女性の頬が緩む。
「そうかい、そうかい。
こんな偶然もあるもんなんだね。嬉しいね」
会場にブザーが鳴る。
自動的に手持ちのウェアラブルがサイレントに切り替わる。
昔は「電源をお切りください」と言われて、
それぞれで電源を落としていたらしい。
何かアバウトというか、
属人的な社会だったんだなと思う。
「UMAsって、どんな集団なんですか?」
まるで僕がU番記者になったかのように、
気が付けば質問を叩き込んでいた。
舞台のパンフレットに目を落としながら、
その女性はゆっくりと、丁寧に、
ひとつひとつ、答えてくれた。
・UMAsは昔は、
ソフトボールチームのみだったこと
・バーのマスターの店も昔は個人店だった。
今はUMAsの《一員》になったということ
・U番記者は代々受け継がれていること、
旦那様がその初代。今は舞台の脚本家。
・ある時から、UMAsのシンボルワード《劇場》が
本当にこんな劇場舞台を展開していったこと
・各種スポーツ、全てにおいて、
個々の人生を自由に描ける場として発展してから、
UMAsはたくさんの夢を包含する集団になったこと
・働き方が変わり、
テクノロジーが進化し、《一回りして》
UMAsの価値が見直され始めていること。
「で、貴方はUMAsに入るの?」
最後に直球の質問を僕がもらった。
この出会いも偶然ならば、この先もきっと、
この偶然を生きていくんだろうと、思った。
「はい。でも、舞台観てから考えようかな」
女性はにやりと笑って、言った。
「今日の主人が書いたタイトル、おかしいの。
~夢の続きを、観ましょうよと~
みましょうよとって、最後の文字、変よね」
その文句のつけ方に、
僕は何か言い尽くせない愛を感じた。
「きっと、みんなで夢みようって、
そういう呼びかけなんじゃないですかね。
僕も、それに乗っかろうかな!」
幕が開いた。
女性は微笑みで、返してくれた。
そして、思った。
僕も、夢の続きを、観ましょうよ、と。
205X年の、春のことだった。
全三話 了
2021年10月17日
10/17朝練!
まるで体力テスト(笑)
久々の朝練、裕之投手、啓祐投手、弓指選手の3名が、
濡れたグランドに参上!
開幕まで二週間を切った、
秋季まで気合いは十分だ!
バットをわすれても、
何の問題もないさ。
キャッチボールから
遠投を計測し、
何と50メートル走(笑)
基礎体力も大事だ!

たった4名、でも最大限楽しむ!
気合いがあれば、雨は止む。
久々の朝練、裕之投手、啓祐投手、弓指選手の3名が、
濡れたグランドに参上!
開幕まで二週間を切った、
秋季まで気合いは十分だ!
バットをわすれても、
何の問題もないさ。
キャッチボールから
遠投を計測し、
何と50メートル走(笑)
基礎体力も大事だ!

たった4名、でも最大限楽しむ!
気合いがあれば、雨は止む。
2021年10月16日
《開幕まで、あと14日》第二話:U番記者の秘め事 ~夢を空想で何が悪い。息巻いたU番記者が目指した夢~
彼の情熱がどこから来るのか、
案外知られていない。
情熱とは、熱狂的ファンであったり、
はたまた贔屓目で取り上げたりする、
いわば偏った想いの、ということではない。
むしろ、
贔屓球団を卑下したり、
喝入れするような類の記事が、
彼の情熱を露骨にしている。
「もういいよ。書けないんだったら」
以前勤めていた雑誌の編集局。
催事を大きくPRすることが、
スポンサーの都合もあって求められていた。
「ですが現地の人は反対しています。
諸手を挙げて熱狂なんて、嘘は書けないですよ」
新人のくせに、全く引かない。
結果、彼はその任を解かれた。
「不器用を売りにするつもりはないですよ。
そんな美談も世の中たくさんあります。
拘りとか、頑固とか、正義感とか。
でも賢く生きるなら、その考えってよくないですよ。
生きるための術なんでしょうけど、
私には少なくとも、辛いことでした。
曲げないことって、辛く生きることかもしれないけど、
その辛さが、実は私にとって救いです」
地元新聞、広告代理店と、
彼は職を転々とした。
「いろんなところにいましたよ。
諦めの早い、身勝手な人間として、
転職市場でも私は劣等生だと思います」
UMAsとの出会いは、
リーグ参戦直後だった。
「雰囲気がイイんですよね。
プレーのミスは仕方ないと。
せっかくの日曜日、楽しまないと損だと。
表面的にはそういうことですが、
その楽しみ方の概念が、触れれば触れるほど、
深いことがわかったんです」
やがてU番記者となる。
UMAsの今を、そして未来を、
余すことなく語り出した。
「会社でもない、利害関係もない、
好きにソフトがしたい人間が集まるこの空間に、
ソフトだけではない価値を持ってこようとしていた。
劇場という言葉も、ここから生まれました。
一人一人にフォーカスしていた。
それがまるで、当たり前であるかのように」
稀有なチームが、魅力に変貌していた。
U番記者の夢が、UMAsに憑依した。
「夢があるんです。
自由で、垣根がなくて、一人ひとりが立てる場所。
生涯の生きがいが見いだせる場所。
一般的な枠組みを廃した、融合できる関係性。
そんなことを、UMAsが起こせるんじゃないかって」
ある意味夢ですが、空想に近いように思えます。
そんなことを言ったら、ものすごい反論が来た。
「空想はダメですか?現実ならいいんですか?
空想は、現実があるからこそ許されるものですよ。
空想から、夢や現実は形作られていくんですよ。
皆さん、そういうとピーターパンだって揶揄しますけど、
現実って、色んなことを諦めることを指すんですか?」
最後に彼は、おもむろにカバンを広げ、
坂口安吾氏が書いた短編集を押し当てた。
『ドフトエフスキーとバルサック』の引用である。
いったい、
空想ということを現実に対立させて考えるのは間違いである。
人間それ自らが現実である以上、
現にその人間によって生み出された空想が現実でない筈かない。
「私の夢は空想です。でも、だからイイんでしょ?
空想でさえも、求め続ければ、《そこにある》のと同じです。
それもまた、この現実が創り出したわけですから」
マスターはぼやく。
「あいつ、そうやって熱く語るから、
面倒くさがられるんだよ(笑)。
でもまあ、あいつは、楽しんでるよ。人生を」
U番記者の、夢。
UMAsが、もう一段高いところで、
たくさんの笑顔を作る場になっていくこと。
小さなソフトボールチームが描いた、
その大きな夢は、もはや彼自身になりつつある。
「秋季の開幕戦は、
王者としての初戦ですよ。ワクワクしませんか」
彼の夢に、淀みはない。
息巻いたU番記者の、息遣いが荒い。
夢を空想で何が悪い。
彼が見る世界こそが、現実である。
案外知られていない。
情熱とは、熱狂的ファンであったり、
はたまた贔屓目で取り上げたりする、
いわば偏った想いの、ということではない。
むしろ、
贔屓球団を卑下したり、
喝入れするような類の記事が、
彼の情熱を露骨にしている。
「もういいよ。書けないんだったら」
以前勤めていた雑誌の編集局。
催事を大きくPRすることが、
スポンサーの都合もあって求められていた。
「ですが現地の人は反対しています。
諸手を挙げて熱狂なんて、嘘は書けないですよ」
新人のくせに、全く引かない。
結果、彼はその任を解かれた。
「不器用を売りにするつもりはないですよ。
そんな美談も世の中たくさんあります。
拘りとか、頑固とか、正義感とか。
でも賢く生きるなら、その考えってよくないですよ。
生きるための術なんでしょうけど、
私には少なくとも、辛いことでした。
曲げないことって、辛く生きることかもしれないけど、
その辛さが、実は私にとって救いです」
地元新聞、広告代理店と、
彼は職を転々とした。
「いろんなところにいましたよ。
諦めの早い、身勝手な人間として、
転職市場でも私は劣等生だと思います」
UMAsとの出会いは、
リーグ参戦直後だった。
「雰囲気がイイんですよね。
プレーのミスは仕方ないと。
せっかくの日曜日、楽しまないと損だと。
表面的にはそういうことですが、
その楽しみ方の概念が、触れれば触れるほど、
深いことがわかったんです」
やがてU番記者となる。
UMAsの今を、そして未来を、
余すことなく語り出した。
「会社でもない、利害関係もない、
好きにソフトがしたい人間が集まるこの空間に、
ソフトだけではない価値を持ってこようとしていた。
劇場という言葉も、ここから生まれました。
一人一人にフォーカスしていた。
それがまるで、当たり前であるかのように」
稀有なチームが、魅力に変貌していた。
U番記者の夢が、UMAsに憑依した。
「夢があるんです。
自由で、垣根がなくて、一人ひとりが立てる場所。
生涯の生きがいが見いだせる場所。
一般的な枠組みを廃した、融合できる関係性。
そんなことを、UMAsが起こせるんじゃないかって」
ある意味夢ですが、空想に近いように思えます。
そんなことを言ったら、ものすごい反論が来た。
「空想はダメですか?現実ならいいんですか?
空想は、現実があるからこそ許されるものですよ。
空想から、夢や現実は形作られていくんですよ。
皆さん、そういうとピーターパンだって揶揄しますけど、
現実って、色んなことを諦めることを指すんですか?」
最後に彼は、おもむろにカバンを広げ、
坂口安吾氏が書いた短編集を押し当てた。
『ドフトエフスキーとバルサック』の引用である。
いったい、
空想ということを現実に対立させて考えるのは間違いである。
人間それ自らが現実である以上、
現にその人間によって生み出された空想が現実でない筈かない。
「私の夢は空想です。でも、だからイイんでしょ?
空想でさえも、求め続ければ、《そこにある》のと同じです。
それもまた、この現実が創り出したわけですから」
マスターはぼやく。
「あいつ、そうやって熱く語るから、
面倒くさがられるんだよ(笑)。
でもまあ、あいつは、楽しんでるよ。人生を」
U番記者の、夢。
UMAsが、もう一段高いところで、
たくさんの笑顔を作る場になっていくこと。
小さなソフトボールチームが描いた、
その大きな夢は、もはや彼自身になりつつある。
「秋季の開幕戦は、
王者としての初戦ですよ。ワクワクしませんか」
彼の夢に、淀みはない。
息巻いたU番記者の、息遣いが荒い。
夢を空想で何が悪い。
彼が見る世界こそが、現実である。
2021年10月09日
《開幕まで、あと22日》第一話:UMAsが誕生するはるか前、マスターが描いた夢 ~夢破れたマスターがUMAsに託した夢~
函館の冬は、寒いというよりも、痛いらしい。
マスターが過ごした青春の大半は、
この寒さ厳しい函館の地で過ごしたといわれている。
赤レンガが美しい、あのあたりだ。
それは、何の前触れもなく訪れた。
右ひじの激痛だった。
「この日からボールさえ握れなくなった。
これで俺の野球人生は、はい、終わりになった」
もともと酒にはうるさい男だった。
それが幸いして、野球を諦め、
バーを開店するに至る。
客が頼むお酒にも、遠慮なく指図した。
「クラッカーに赤ワインは合わないよ」
怪訝な顔をする客にも、遠慮はしない。
合わないものは合わないからだ。
「知らないことを放置してまで、
客に媚びるのは心が許さない。」
監督が来店したときもそうだ。
鯛のカルパッチョに、赤ワインを注文した。
おかしいと指摘すると、意外な答えが返ってきた。
「合わない組み合わせで飲みたいんだ。
うちのチームみたいな、ね。」
最初は意味が分からなかった。
UMAsのチーム事情に悩んだ監督が、
あえて、マッチしない注文をしたというのだ。
「ほんとだ、鯛の味がしない。
でもそうか。こうやって俺は、
選手の個性を削いできたのかも。」
妙な方法で自分に気づきを与えようとする、
目の前の人物と、次第に話すようになっていった。
「うちのチームに来ないか?」
肘が動かないことを知っていて、
監督はマスターに声をかけた。
「動かない肘が何だ。
左手で打てばいいじゃないか。」
戦力にならないことを告げても、
監督の語気は変わらなかった。
「戦力ってどういうことだ?
プレーだけならうちはいらない。
その挫折と想いが、UMAsなんだから。」
結局マスターは、入団しているのかどうか、
誰もそのことを理解している者はいない。
しかしユニフォームは《無理やり》預かっている。
「いつか、やってみてもいいかもね。
監督はいつでもいいって言うんだよ」
改めて、マスターに、UMAsを訪ねた。
「俺が元プロ野球選手だからって、
草野球でお願いしますなんていう人はたくさんいる。
でも、あの監督だけは、プレーのことを言わない。
試合できなくてもいいからって(笑)。
ソフトボールできない人が、ソフトボール来いって、
ちょっとおかしいんだよ。
でも、何となく、わかった気がする。
UMAsにとって、ソフトボールチームだけど、
プレーそのものじゃない《価値》を追いかけてる。
それだけでも、何か、変わってるよな。」
確かにマスターの夢、
プロ野球選手での活躍の夢は絶たれた。
しかし、生き方として、その夢は《続いている》という。
監督が鯛のカルパッチョに赤ワインを注文した日は、
実はまだUMAsは誕生していなかった。
それでもすでに、ソフトボールチーム発足を想定し、
練習を重ねていたという。
「目に見えないものを追いかけてたな。
できあがったチームも、素人ばかり。
でも監督は、観に来て教えてくれとは言わなかった。
一緒に楽しもうや、みたいなノリだった」
《続いている》夢とは、
UMAsが、前例のない新しいコミュニティになろうとしている、
そのことが妙に頭から離れず、ワクワクするという。
「まあ、道楽と言えばそうなんだけどね。
どこか放っておけないというか、気になるというか。
優勝目指すってうるさかったり、
優勝はいらないって毒ついたり、
色んな事を言い出しては、新しいことをしていくから、
気が付けば俺も、彼の船に乗っかってるよな」
幾分迷惑そうに、けれどどこか楽しそうに、
マスターはつぶやいた。
監督が頼んだ赤ワインの空瓶が、
今でも奥の段ボールにしまわれている。
監督が描いている夢が成就したときに、
その空瓶で乾杯したいそうだ。
「多分、到達しないから、ないよ。
でも、目指している今が一番、楽しいんだろうね」
私は知っている。
マスターが時折、グラブをはめて、
函館の痛い風を受けながら、
ボールの感触を確かめていることを。
いつかグランドに立てる日を、
そのユニフォームにそでを通す日が来ることを。
目指し続けることの尊さが、
何とも言えず、眩しい。
2021年10月02日
《開幕まで、あと29日》夢の続きを、観ましょうよと
2021春、勧修寺の変。
あの感動から3か月が過ぎた。
決して奇跡ではない、
様々なドラマの紡ぎがあったことを、
私たちは忘れてはならない。
優勝ドラマ 完全新作。
ここからのブログは、新章開幕に合わせての
未公開ストーリー仕立て。全3話。
第一話:UMAsが誕生するはるか前、マスターが描いた夢
~夢破れたマスターがUMAsに託した夢~
第二話:U番記者の秘め事
~夢を空想で何が悪い。息巻いたU番記者が目指した夢~
第三話:完全新作エピソード
~夢の続きを、観ましょうよと~
開幕までのしばしの間、
このブログが、きっと、走り出す(はず)。
あの感動から3か月が過ぎた。
決して奇跡ではない、
様々なドラマの紡ぎがあったことを、
私たちは忘れてはならない。
優勝ドラマ 完全新作。
ここからのブログは、新章開幕に合わせての
未公開ストーリー仕立て。全3話。
第一話:UMAsが誕生するはるか前、マスターが描いた夢
~夢破れたマスターがUMAsに託した夢~
第二話:U番記者の秘め事
~夢を空想で何が悪い。息巻いたU番記者が目指した夢~
第三話:完全新作エピソード
~夢の続きを、観ましょうよと~
開幕までのしばしの間、
このブログが、きっと、走り出す(はず)。
