2021年10月09日
《開幕まで、あと22日》第一話:UMAsが誕生するはるか前、マスターが描いた夢 ~夢破れたマスターがUMAsに託した夢~
函館の冬は、寒いというよりも、痛いらしい。
マスターが過ごした青春の大半は、
この寒さ厳しい函館の地で過ごしたといわれている。
赤レンガが美しい、あのあたりだ。
それは、何の前触れもなく訪れた。
右ひじの激痛だった。
「この日からボールさえ握れなくなった。
これで俺の野球人生は、はい、終わりになった」
もともと酒にはうるさい男だった。
それが幸いして、野球を諦め、
バーを開店するに至る。
客が頼むお酒にも、遠慮なく指図した。
「クラッカーに赤ワインは合わないよ」
怪訝な顔をする客にも、遠慮はしない。
合わないものは合わないからだ。
「知らないことを放置してまで、
客に媚びるのは心が許さない。」
監督が来店したときもそうだ。
鯛のカルパッチョに、赤ワインを注文した。
おかしいと指摘すると、意外な答えが返ってきた。
「合わない組み合わせで飲みたいんだ。
うちのチームみたいな、ね。」
最初は意味が分からなかった。
UMAsのチーム事情に悩んだ監督が、
あえて、マッチしない注文をしたというのだ。
「ほんとだ、鯛の味がしない。
でもそうか。こうやって俺は、
選手の個性を削いできたのかも。」
妙な方法で自分に気づきを与えようとする、
目の前の人物と、次第に話すようになっていった。
「うちのチームに来ないか?」
肘が動かないことを知っていて、
監督はマスターに声をかけた。
「動かない肘が何だ。
左手で打てばいいじゃないか。」
戦力にならないことを告げても、
監督の語気は変わらなかった。
「戦力ってどういうことだ?
プレーだけならうちはいらない。
その挫折と想いが、UMAsなんだから。」
結局マスターは、入団しているのかどうか、
誰もそのことを理解している者はいない。
しかしユニフォームは《無理やり》預かっている。
「いつか、やってみてもいいかもね。
監督はいつでもいいって言うんだよ」
改めて、マスターに、UMAsを訪ねた。
「俺が元プロ野球選手だからって、
草野球でお願いしますなんていう人はたくさんいる。
でも、あの監督だけは、プレーのことを言わない。
試合できなくてもいいからって(笑)。
ソフトボールできない人が、ソフトボール来いって、
ちょっとおかしいんだよ。
でも、何となく、わかった気がする。
UMAsにとって、ソフトボールチームだけど、
プレーそのものじゃない《価値》を追いかけてる。
それだけでも、何か、変わってるよな。」
確かにマスターの夢、
プロ野球選手での活躍の夢は絶たれた。
しかし、生き方として、その夢は《続いている》という。
監督が鯛のカルパッチョに赤ワインを注文した日は、
実はまだUMAsは誕生していなかった。
それでもすでに、ソフトボールチーム発足を想定し、
練習を重ねていたという。
「目に見えないものを追いかけてたな。
できあがったチームも、素人ばかり。
でも監督は、観に来て教えてくれとは言わなかった。
一緒に楽しもうや、みたいなノリだった」
《続いている》夢とは、
UMAsが、前例のない新しいコミュニティになろうとしている、
そのことが妙に頭から離れず、ワクワクするという。
「まあ、道楽と言えばそうなんだけどね。
どこか放っておけないというか、気になるというか。
優勝目指すってうるさかったり、
優勝はいらないって毒ついたり、
色んな事を言い出しては、新しいことをしていくから、
気が付けば俺も、彼の船に乗っかってるよな」
幾分迷惑そうに、けれどどこか楽しそうに、
マスターはつぶやいた。
監督が頼んだ赤ワインの空瓶が、
今でも奥の段ボールにしまわれている。
監督が描いている夢が成就したときに、
その空瓶で乾杯したいそうだ。
「多分、到達しないから、ないよ。
でも、目指している今が一番、楽しいんだろうね」
私は知っている。
マスターが時折、グラブをはめて、
函館の痛い風を受けながら、
ボールの感触を確かめていることを。
いつかグランドに立てる日を、
そのユニフォームにそでを通す日が来ることを。
目指し続けることの尊さが、
何とも言えず、眩しい。
1/17 第4回 ユーマーズアカデミー開催
nUmber 1/5号
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11/24 二回目の「子どもワクワクマルシェ」出店!
11/16 無限飯(つじ農園様)ユーマーズ2年連続で!
10/27 第四回 ユーマーズ杯(shogi)開催
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Posted by 京都上鳥羽UMAs at 11:29
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